【解説】 証券外務員登録までの流れ 金融商品仲介業に登録してもIFA法人としてすぐに活動できるわけではありません。日本証券業協会へ届出をし、自社の証券外務員試験合格者を証券外務員として登録する必要があります。 今回は、日本証券業協会へ届出をし、自社の証券外務員試験合格者を証券外務員として登録するまでの流れと登録後の外務員資格更新研修の内容について解説します。 ◇証券外務員として登録するまで 証券外務員として登録するためには、まず、証券外務員試験一種又は二種外務員試験に合格する必要があります。 次に、証券外務員試験合格者は、所属するIFA法人を通じ、当該IFA法人が金融商品仲介業業務委託基本契約を締結している証券会社を経由して日本証券業協会に外務員登録の届出を提出します。 外務員登録には、外務員登録申請書、外務員登録事項変更届出書、登録外務員の欠格事項該当届出書、登録外務員の職務廃止届出書、登録申請に係る外務員が金融商品取引法に規定された欠格要件のいずれにも該当しない者であることを当該外務員及び登録申請を行った会員が誓約する書面が必要になります。 ◇外務員資格更新研修 証券外務員として登録した後も、証券外務員登録をした日から 5年 毎に外務員資格更新研修を受講する必要があります。なお、新たに証券外務員として登録を受けた方と再び証券外務員として登録を受けた方は、外務員資格更新研修を原則として 180日 以内に受講しなければなりません。 外務員資格更新研修は、所属している協会員(金融機関等)を通じて申込をが行われます。 研修時間は135分であり、この時間内に研修を修了する必要があります。研修内容としては、動画講義とそれに対するテストで構成されており、テストに合格することで次の講義に進むことができます。 このテストは、全体の7割以上の正解で合格となり、7割に満たない場合は、もう一度動画講義に戻って内容を確認してから、再度テストを受けることがきます。 全ての講義を受講し、テストに合格すると外務員資格更新研修は修了となります。 この研修の受講者の合格率は、2021年度で99.9%であるため、研修時間の時間配分にさえ気を付ければ外務員資格更新研修を無事修了することは難しくないようです。 コレクト行政書士事務所 ...
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投資助言・代理業の登録プロセスを開始する前に準備すべきこと 投資助言・代理業に登録するための申請書を提出する前に、財務局との間で事前相談として財務局の職員とヒアリングを行う必要があります。 このヒアリングは、本店所在地を管轄する財務局・財務事務所において、審査担当官と行うことになります。 このヒアリングでは、図表等資料を用いて具体的な事業スキームや営業方法、組織体制、役職員の経歴などを財務局側に説明することになりますが、ここで、財務局側は、投資助言・代理業者への登録を希望する事業者をこの先の申請書の提出に進ませるかを判断しますので、登録を希望する事業者側は、十分な事前準備をしてこのヒアリングに臨む必要があります。 具体的に決めておくべき事柄ですが、投資助言・代理業者として行う予定である業務が投資助言に関するものである場合は、助言対象となる金融商品の種類も決めておく必要がありますし、助言の方法や報酬体系等も決めておく必要があります。 加えて、投資助言・代理業者に課せられた法律や規制を踏まえた上で、内部管理体制やコンプライアンス体制等を社内で検討・構築し、図表等資料を用いて説明できるようにしておく必要があります。 ヒアリング前の事前準備の段階で、どれだけ入念に準備するかで、投資助言・代理業者への登録の成否、登録に要する時間も大きく異なってきますので、登録を希望する事業者は、ヒアリングを行う前に説明を求められる一連の事柄を全て他者に説明できる程度に固めておく必要があるわけです。 関連ページ 投資助言・代理業に登録するための人的要件のまとめ
【解説】IFAの概要と今後の展望 ◇IFA(金融商品仲介業)の概要 IFA(金融商品仲介業者)は、第一種金融商品取引業または投資運用業を行う金融商品取引業者または登録金融機関の委託を受けて、金融商品仲介行為に該当する行為のいずれかを当該金融商品取引業者または登録金融機関のために行います。 IFAは、特定の証券会社に属さず、独立・中立的な立場で資産運用のアドバイスを行い、その業務は、取引の勧誘や仲介、申込の受付等に限定されるため、契約当事者とはなりません。 顧客はあくまでも委託者である証券会社等と契約することになり、顧客の口座は委託元の証券会社が管理します。 IFAとなるためには、まず、業務委託を希望する証券会社等と面談をし、その審査を受けこれに合格する必要があります。当該証券会社等との間に金融商品仲介業業務委託基本契約を締結し、次に、一定の登録拒否事由に該当しない場合、金融商品仲介業者として内閣総理大臣の登録を受けることができます。その後、証券会社を通し、日本証券業協会の外務員登録を受けることが必要となります。 ◇IFAの今後の展望 IFAはこのように特定の証券会社に属さず、独立・中立的な立場で資産運用のアドバイスを行い、その業務は、取引の勧誘や仲介、申込の受付等に限定されるため、契約当事者とはなりません。 一方、証券会社等の委託を受けて当該証券会社等が取扱っている金融商品を顧客に販売しているため、金融経済教育推進機構が認定する予定の認定アドバイザーの要件である金融商品を販売する金融事業を兼業していないことや顧客からのみ報酬を得ているという条件を満たすことが出来ず、認定アドバイザーにはなれないものと思われます。 そのため、認定アドバイザー制度が正式に開始された場合、金融商品の販売をすることは無いとはいえ、中立的な立場から投資家にアドバイスをするとされる認定アドバイザーと、独立・中立的な立場で資産運用のアドバイスを行い、金融商品の販売を行うIFAは、競合する部分があるため、金融に関する中立的なアドバイザーという市場を巡ってIFAと認定アドバイザーとの間で競争が生じる可能性もあります。 特に、IFA事業者の中でも、金融商品の販売のためではなく、金融商品に関するアドバイスをするためにIFA事業者になった事業者は、2024年8月に認定アドバイザー制...
投資助言・代理業の業務について ◇投資助言業の業務 投資助言業では、顧客である投資者に対し、投資顧問(助言)契約に基づき、有価証券の価値等または、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断を投資者から報酬を得て、投資者のために行う業務であり、最終的な投資判断は投資者自身が行います。 有価証券の価格等について踏み込んだ助言を提供するファイナンシャル・プランニング業務や投資助言業務は、典型的な投資助言業に該当します。 一方、新聞や雑誌、書籍等の不特定多数の者に対し、販売されることを目的として発行されるもので、不特定多数の者によって随時購入することが可能な文書に投資判断を掲載するといった行為は、投資助言業には該当しない除外事由とされています。 しかし、直接業者に購入を申し込まなければ購入できないレポートの販売等は、投資助言業に該当する場合があります。 さらに、インターネットを用いたサービス提供でも、単発での購入や利用を受け付けず会員登録等をしなければ投資情報の購入や利用ができない場合も投資助言業に該当する場合があり注意が必要です。 ◇投資代理業の業務 投資助言・代理業への登録をご希望のお客様からご相談を受ける中で、ほとんどのお客様は、投資助言業に関心を示されます。一方、投資代理業に関するご相談はあまりありません。 投資助言業に比べるとマイナーな印象がありますが、次のようなものが投資代理業の業務とされています。 投資代理業は、他の投資助言・代理業者または投資運用業者から投資一任契約または、投資顧問(助言)契約締結に関する委託をされ、投資者との契約締結の代理・媒介を行う業務になります。
IFA(金融商品仲介業者)として登録する要件を満たせない場合の対応策 ◇登録要件を満たせない場合は一旦登録を諦めてIFA法人で働くという方法も 個人や個人事業主の方で、当面は法人を設立する予定も2名以上の一種又は二種証券外務員試験合格者を確保することも難しいという方の場合、IFA事業者として開業することはできませんが、既存のIFA法人に所属して活動し、IFAとしての実務経験を積んだうえで将来的には独立開業するという方法も存在します。 既存のIFA法人に所属して活動するメリットとしては、IFAとして実務経験を積めることの他に、IFA法人のビジネスモデルや集客方法について学ぶことができる点を挙げることができます。 近年、IFA法人の数は増加傾向にあり、IFA法人間での競争が激化していくことが予想されることから、IFA法人のビジネスモデルや集客方法を学んでから独立することも賢い選択肢ではないかと思われます。 ちなみに、証券会社等の中には、所属できるIFA法人を探している個人に自社と提携して活動しているIFA法人を紹介してくれる会社も存在します。 IFA法人への紹介を行っている証券会社等では、一般的に①証券会社等に個別相談の申込、②書類提出・社内審査、③提携しているIFA法人へ紹介、④入社・外務員登録(提携しているIFA法人への入社)、⑤導入研修、⑥IFAとして業務を開始という一連の流れを用意しているようです。 このように既存のIFA法人に所属して活動するという方法もあるのですが、当然ながら、既存のIFA法人に所属するためには、一種又は二種証券外務員試験に合格していることが前提条件となります。 ◇IFAを目指す場合の注意点 2024年3月現在の公開情報によりますと、金融商品の販売を行うIFAは、2024年8月から登録が始まる予定の金融経済教育推進機構が認定するアドバイザーに登録できないとされていますので、同アドバイザーへの登録を考えている方は、IFAとの兼業はできませんので注意が必要です。 金融経済教育推進機構が認定するアドバイザー制度の詳細については関連ページをご覧ください。 関連ページ 登録拒否要件 IFA(金融商品仲介業者)に登録するための条件と登録するまでの過程 金融経済教育推進機構と認定アドバイザーの条件について
登録拒否要件 投資助言・代理業、IFA(金融商品仲介業者)ともに、次の登録拒否要件に該当する場合、登録することが出来ません。 ◇登録拒否要件 ・登録申請書もしくは添付書類に虚偽の記載があった場合 ・過去に金融商品取引業の登録を取り消され5年経過していないもの ・金融商品取引法の一定の法律に違反し、罰金以上の刑に処せられている場合は刑の執行が終わるか、その刑執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないもの ・他に行う事業が公益に反すると認められるもの ・金融商品取引業を適格に遂行するに足りる人的構成を有しない者(IFAには関係ない部分。ただし、証券会社等の確認事項の一つとして事実上一定の人的要件が存在) ・法人である場合、役員、重要な使用人に欠格事由に該当するものがいる場合 (欠格事由に該当するもの一覧) イ.制限能力者 ロ.破産者 ハ.禁固以上の執行後5年を経過しない者 ニ.役員として勤務した法人が登録等を取消され5年を経過した者 ホ.登録を取消され5年を経過しない者 ヘ.解任を命ぜられ5年を経過しない者 ト.一定の金融犯罪・暴力犯罪の罰金刑執行後5年を経過しない者 ごくまれにですが、確認してみると役員や重要な使用人の中に、金銭的なトラブルを抱えていて破産している方や交通犯罪や脱税で執行猶予中の方がいる場合もありますので、質問しにくい事柄ではありますが、社内で欠格事由に該当する方がいないかよく確認してみる必要があります。
投資助言・代理業に登録後に人的要件を満たせなくなった場合どうなるのか? 結論から申し上げますと投資助言・代理業に登録後、人的要件を満たせなくなった場合、登録を取消されることになります。 「金融商品取引業を定格に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況」であることを理由に登録取消し処分を受けた事例もあります。 従いまして、人的要件の確保につきましては、投資助言・代理業への登録時のみならず、登録後もこれを維持する必要があります。 ちなみに、役職員の退職等が生じた場合は、金融商品取引法に基づき「金融商品取引業者の役員又は政令で定める使用人の変更届出」(※1)等の該当する届出を提出期限内に届出る必要がありますのでこの点にも注意する必要があります。 このように、投資助言・代理業では、登録時のみならず、登録後も人的要件を維持し続ける必要があるのですが、この点が小規模事業者にとって特に負担になる点ではないかと思われます。 一般的に小規模事業者では、新規の人材募集が大規模事業者に比べて困難であると考えられることから、そもそも確保が困難なコンプライアンス担当者や内部監査担当者が退職等で欠けた場合、一気に登録の維持が困難になることが予想されます。 こうした点も踏まえて登録を目指すか否か、もし目指す場合は、役職員の退職等で人的要件を満たせなくなった場合を事前に想定し、欠員が生じても対応できるような組織体制作りをどのように進めるかを考えておいたり、金融人材を紹介してくれる人材紹介会社との間に必要な時に人材を紹介してもらえる関係を事前に作っておく等の対策を登録を進める前の段階からご検討いただければと思います。 (※1)金融商品取引業者の役員又は政令で定める使用人の変更届出の提出期限は2週間以内に提出する必要があります。 関連ページ 投資助言・代理業に登録するための人的要件のまとめ
2024年に投資助言・代理業者とIFA(金融商品仲介業者) のビジネスに影響を与える可能性のある制度変更等 2024年に投資助言・代理業者とIFA(金融商品仲介業者)のビジネスに影響を与える可能性のある制度変更には、2024年1月から始まる新NISA制度と2024年の春頃に金融経済教育推進機構の設立が予定されています。 今回は、新NISA制度と金融経済教育推進機構の設立が投資助言・代理業者とIFAのビジネスに与える影響について解説します。 ◇新NISA制度がビジネスに与える影響 2024年1月から開始される新NISA制度は、非課税保有期間の無期限化、口座開設期間の恒久化、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になり、年間投資枠も拡大されることを特徴としています。 この新NISA制度をきかっけに、個人による投資活動の活性化が期待されます。また、個人の投資活動の活性化にともなって投資助言・代理業者やIFAのような専門家に相談することが日本社会でより一般的なものになることも期待されます。 一方、新NISA制度の開始を受けて外国の証券会社等が日本でのビジネスにより力を入れるようになることも予想され、このことによって、日本の金融ビジネス市場での競争が激化することも予想されます。 ◇金融経済教育推進機構の設立がビジネスに与える影響 2023年11月20日の衆院本会議にて金融経済教育推進機構の成立に関する法案が可決・成立しました。 同機構は、金融経済教育の教材・コンテンツの作成、中立的なアドバイザー(以下認定アドバイザーと表記)の認定・教育等を目的として認可法人として2024年春に設立される予定です。 認定アドバイザーの認定要件等の詳細は、現時点では明らかになっていませんが、認定要件等が明らかにされれば、今まで人的要件等の参入障壁によって投資助言・代理業者への登録ができなかった事業者が認定アドバイザーとして金融ビジネスへ参入する道が開けるかもしれません。 投資助言・代理業者やIFAとして金融ビジネスへの参入を考えている事業者は、認定アドバイザー制度の詳細が明らかになってから、投資助言・代理業者・IFA・認定アドバイザーのいずれが自社のビジネスに適しているのかを見比べてから本格的な参入を考えてみるのも良いのではないでしょうか。 ◇補足:助言対象を限定した投資助言業...