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アメリカにおけるイーサリアムの現物ETF承認が投資助言・代理業とIFAビジネスにもたらす影響  今回はアメリカにおけるイーサリアムの現物ETF承認が投資助言・代理業とIFAビジネスにもたらす影響について解説します。 ◇出来事の概要  イーサリアムの現物ETFについて、2024年5月23日にアメリカ証券取引委員会(SEC)が重要な書類を承認しました。この出来事により、イーサリアムスポットETFがアメリアで利用可能になる方向性が示されました。ただし、実際にイーサリアムの現物ETFが市場で取引されるまでには、規制当局のさらなる承認が必要となります。  今回のイーサリアムの現物ETF承認は、以前承認された ビットコインETF と併せて、暗号資産投資が投機から信頼できる投資対象資産として地位を確立するための大きな一歩となりそうです。 ◇イーサリアムの現物ETF承認が投資助言業とIFAビジネスにもたらす影響  今回のイーサリアムの現物ETF承認を受けて、投資家の暗号資産投資へのニーズはますます高まりそうです。  2024年5月現在、日本の証券取引所での暗号資産ETFの取り扱いはありません。また、日本の証券会社が海外の取引所に上場している暗号資産ETFを取り扱うことも現状では行われていないようです。  このように日本の証券取引所では、暗号資産ETFの取り扱いはありませんが、海外の動向を受けて、日本でも将来的には、暗号資産ETFが上場されるかもしれません。  前述したように、IFA事業者の場合は、日本の証券会社が暗号資産ETFを取り扱っていないため、現状では、直接的なビジネス上での関わりは生じないと思いますが、投資助言・代理業者が顧客から暗号資産投資についての相談をうけた場合は、現物の暗号資産への投資か海外のETFに投資することを助言することになります。  最後に、顧客に暗号資産投資に関するアドバイスをする際の注意点についてですが、ビットコイン等の現物暗号資産に対する助言につきましては、2024年5月現在、投資助言・代理業への登録は必要ありません。  加えて、暗号資産の信用取引に関する助言も、投資助言・代理業に該当しないとされています。  ただし、暗号資産の信用取引に関する助言を行う場合でも、当該助言が、信用取引に対する助言なのかデリバティブ取引に対する助言なのかによって、投資助言
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資産運用立国と顧客の立場に立ったアドバイザーが金融相談ビジネスにもたらす可能性について ◇資産運用立国の概要  日本政府は、家計金融資産の半分以上を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費に繋がる成長と分配の好循環を実現することが重要であるとしています。  そこで、政府は、家計に向けた取組、金融商品の販売会社等に向けた取組、企業や金融・資本市場に向けた取組を推進し、資産運用業の改革、アセットオーナーシップの改革、成長資金の供給と運用対象の多様化、スチュワード活動の実質化、対外情報発信・コミュニケーションの強化を柱とする資産運用立国実現プランを策定しています。  この資産運用立国のプランの中で、投資助言・代理業やIFA(金融商品仲介業)に特に関連が深いのは、家計に向けた取組の具体化ですが、この取組では、①NISAの抜本的拡充・恒久化(2024年1月から開始)、②顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・促進に向けた検討、③金融経済教育の充実の三つの施策が進められています。  ①については、予定通り2024年1月から新NISA制度が開始され、②、③については、具体的な担い手として期待される認定アドバイザーの認定を担う予定の2024年4月に金融経済教育推進機構が設立され、同機構は、2024年8月から本格始動する予定です。 ◇顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・促進がもたらすビジネス上のチャンスについて  資産運用立国において、政府が顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・促進に向けた検討を行っていることを受け、投資助言・代理業者とIFA(金融商品仲介業者)には、次のようなビジネス上のチャンスがもたらされると思われます。 ①顧客の資産形成に関するアドバイスの需要が増加することで、投資助言・代理業やIFAに対する需要が高まる可能性がある。 ②顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・促進により、顧客の立場に立つことを意識して誠実に業務を行っている投資助言・代理業者やIFAが、この市場での競争力をより高める可能性がある。 ③金融経済教育の充実が掲げられていることから、この分野から潜在的な顧客への接触を図る機会が拡大すると考えられ、営業のチャンスも増大することが期待できる。  以上のようなビジネス上のチャンスがもたらされることで、投資助言・
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投資助言・代理業に小規模法人が登録を目指す際の注意点 ◇投資助言・代理業に小規模法人が登録を目指す際に落とし穴となる点  以前にもご紹介しましたが、法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)で登録する場合は、常務に従事する役員にも、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識を有することが求められます。  そのため、常務に従事する役員には、金融商品取引業者又は登録金融機関で十分な職務経験を有する方が1名以上必要となり、法人全体では、この常務に従事する役員を含めて2名以上金融商品取引業又は登録金融機関に勤務経験のある方が必要です。  小規模法人の場合、金融商品取引業者又は登録金融機関での職務経験のある常務に従事する役員を確保できず、役員の人的要件を満たせないことから登録できなくなるという事例が存在します。  このような事例では、行おうとする業務にもよりますが、法人としての登録ではなく、個人事業主としての登録であれば登録できる可能性があります。 ◇個人事業主が法人として投資助言・代理業の登録を再度行う際の注意点  一方、個人事業主として投資助言・代理業に登録をした場合、ビジネスが軌道に乗り、法人として投資助言・代理業に登録できる人的要件を満たせるようになり、法人として投資助言・代理業への登録を行いたいと考えた際、個人事業主としての登録を引き継ぐことはできず、法人として一から登録を行う必要があるため、これにともなう費用が再度必要になるというデメリットも生じてしまいます。  ただし、このような場合でも、個人事業主として顧客等との間に締結していた契約を法人として引き継ぐことは可能です。 関連ページ ・ 【2024年版】投資助言・代理業に登録するための人的要件まとめ