資産運用立国と顧客の立場に立ったアドバイザーが金融相談ビジネスにもたらす可能性について








◇資産運用立国の概要

 日本政府は、家計金融資産の半分以上を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費に繋がる成長と分配の好循環を実現することが重要であるとしています。
 そこで、政府は、家計に向けた取組、金融商品の販売会社等に向けた取組、企業や金融・資本市場に向けた取組を推進し、資産運用業の改革、アセットオーナーシップの改革、成長資金の供給と運用対象の多様化、スチュワード活動の実質化、対外情報発信・コミュニケーションの強化を柱とする資産運用立国実現プランを策定しています。
 この資産運用立国のプランの中で、投資助言・代理業やIFA(金融商品仲介業)に特に関連が深いのは、家計に向けた取組の具体化ですが、この取組では、①NISAの抜本的拡充・恒久化(2024年1月から開始)、②顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・促進に向けた検討、③金融経済教育の充実の三つの施策が進められています。
 ①については、予定通り2024年1月から新NISA制度が開始され、②、③については、具体的な担い手として期待される認定アドバイザーの認定を担う予定の2024年4月に金融経済教育推進機構が設立され、同機構は、2024年8月から本格始動する予定です。

◇顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・促進がもたらすビジネス上のチャンスについて

 資産運用立国において、政府が顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・促進に向けた検討を行っていることを受け、投資助言・代理業者とIFA(金融商品仲介業者)には、次のようなビジネス上のチャンスがもたらされると思われます。

①顧客の資産形成に関するアドバイスの需要が増加することで、投資助言・代理業やIFAに対する需要が高まる可能性がある。
②顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・促進により、顧客の立場に立つことを意識して誠実に業務を行っている投資助言・代理業者やIFAが、この市場での競争力をより高める可能性がある。
③金融経済教育の充実が掲げられていることから、この分野から潜在的な顧客への接触を図る機会が拡大すると考えられ、営業のチャンスも増大することが期待できる。

 以上のようなビジネス上のチャンスがもたらされることで、投資助言・代理業者やIFAは、顧客の資産形成により積極的に貢献することが期待される一方で、前述の認定アドバイザー制度の創設によって、資産形成に関するアドバイザー間の競争の激化も予想されることから、投資助言・代理業者とIFA(金融商品仲介業者)もより顧客の立場に立ったアドバイスの提供が求められるようになると予想されます。

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