投稿

4月, 2024の投稿を表示しています
イメージ
金融経済教育推進機構と認定アドバイザーの条件について ◇金融経済教育推進機構と認定アドバイザーの概要  2023年11月20日の衆院本会議にて金融経済教育推進機構の成立に関する法案が可決・成立しました。  同機構は、金融経済教育の教材・コンテンツの作成、中立的なアドバイザー(以下認定アドバイザーと表記)の認定・教育等を目的として認可法人として2024年4月に設立され、同年8月から本格的に稼働する予定です。  認定アドバイザーは、家計管理、ライフプラン、資産形成等に関する個別相談を実施し、個々の状況に応じたアドバイスを提供する主体となることが期待されているようです。  認定基準は、まだ具体的な基準を同機構が示していないので現時点で明言することは困難ですが、金融庁が示した案では、「家計管理、生活設計、NISA・iDeCo等の資産形成制度、金融商品・サービス、消費生活相談等に関するアドバイスを提供するための有益な資格(CFP、AFP、FP技能検定2級以上、外務員(1種)、弁護士等の士業、消費者生活相談員など)及び一定の業務経験を有すること」としています。  仮にこの金融庁が提示した案に基づいた認定基準となった場合、金融機関に勤務している者や金融機関から報酬等を得ている者は除外されることになりますので、IFA事業者は除外される可能性が高いと思われます。  一方、金融商品を販売する金融事業を兼業していないことや顧客からのみ報酬を得ていることといった基準を満たしている場合、FPはほぼ確実に認定されると思われますし、投資助言業者も条件を満たせれば、認定アドバイザーとして認定される可能性があります。  ここまで金経済教育推進機構と認定アドバイザーについてご紹介してきましたが、同機構の成立に関する法案が可決・成立したことを受け、以前から議論されてきた助言対象を絞った(例えば、つみたてNISAやiDeCoに限定)投資助言業の議論の具体化も期待されているところですが、制度の具体化については現時点では未定であり、今後の議論の進展が待たれます。  助言対象を絞った投資助言業についての議論の進展があった場合、当ブログでも取り上げる予定です。 ◇金融経済教育推進機構が正式に設立されました  金融経済教育推進機構が2024年4月に予定通り設立されました。同機構の内部規定事業計画等の詳細は、同年4月
イメージ
IFAとして開業を希望する事業者が証券会社を選ぶ際のポイント ◇ 金融商品仲介業業務委託基本契約の締結先の証券会社等を選ぶ際のポイント  金融商品仲介業業務委託基本契約の締結先の証券会社等を選ぶ際には、次のようなポイントを確認する必要があります。 ①自社の理念や方向性との親和性 ②取扱金融商品の種類の豊富さ(自社の対象顧客が望む金融商品を扱っているかが特に重要) ③IFAへの支援体制(IFAに提供されるシステムは使いやすそうか、問い合わせへのレスポンスは早いか等) ④IFA側の要望(特定の金融商品を扱ってほしい等)が採用される余地はあるか ⑤金融商品仲介業業務委託基本契約締結時に初期費用はかかるか?契約締結後にかかる費用はあるか?システム利用料はかかるか? ⑥IFAとの連携に積極的か(自社の取扱い金融商品を販売する販路としてのIFAの位置付けを確認する必要あり) ※証券会社によっては、経営方針の変化によってIFAとの連携の重要度を低下させる場合も考えられるので、その証券会社の長期的な経営方針をよく確認しておく必要あり ⑦金融機関勤務経験者以外にも門戸を積極的に開いているか ◇その他のポイント ①証券外務員一種試験合格者のみを求めている証券会社等もあるため、自社の試験合格者が二種試験合格者のみの場合は、募集要項をよく確認する必要あり ②自社の役職員に特定の証券会社と何らかの接点がある者がいる場合は、その証券会社等との連携がしやすくなる可能性もあるため、まずは、この可能性を探ってみる 関連ページ ・ IFAの概要と今後の展望
イメージ
 【入門】投資助言・代理業と金融ADR制度について:①一般社団法人日本投資顧問業協会に加入する場合と②弁護士会紛争解決センターを利用する場合 ①一般社団法人日本投資顧問業協会に加入する場合の考慮事項と加入手続きの流れ  以下では、一般社団法人日本投資顧問業協会に加入する場合の考慮事項と加入手続きの流れについて解説していきます。 ◇日本投資顧問業協会へ加入する場合の考慮事項  投資助言・代理業者は、一般社団法人日本投資顧問業協会への加入か弁護士会紛争解決センターへの加入が必要となりますが、登録審査に際して、両社の間に基本的には、優劣はありません。  一方、日本投資顧問業協会に加入した場合、各種変更届や自主規制ルール順守状況等調査票を年次で提出する必要があります。さらに、加入業者に対する不定期の監査が実施されるなどの事務的な負担も生じます。  しかし、日本投資顧問業協会では、コンプライアンス研修等の各種研修を実施しており、業務運営に資する各種の情報等も得ることができます。加えて投資顧問経協会に加入することで社会的な信用を獲得できるなどのメリットも存在します。  投資助言・代理業への登録時の注意点としては、日本投資顧問業協会への加入では、加入を希望する事業者に対して、社内規定や契約締結前交付書面等に関する審査や面談が行われますので、加入に際して弁護士会紛争解決センターへ加入する場合よりも時間がかかります。 ◇日本投資顧問業協会への加入手続きの流れ  日本投資顧問業協会への加入手続きの流れは次のようになります。 ①登録後、協会に対して入会申込書等の必要書類を提出 入会申込書及び以下の書類を提出する必要があります ・定款の写し ・登記事項証明書の写し ・登録申請書及び方法を記載した書面 ・業務に係る人的構成及び組織等の業務執行体制を記載した書面 ・役員及び政令第15条の4で定める使用人の履歴書 ・業務内容等が記載されたパンフレット・会社案内など ・その他協会が必要と認める書類… 直近の事業報告書 契約締結前交付書面 新規・登録申請者の概要についての写し 法人関係情報等取扱規定 役職員自己取引規定 コンプライアンスに関するチェックシート(日本投資顧問業協会HPにて入手可)など ・入会申込書(日本投資顧問業協会HPにて入手可) ②書類の内容等について質問や補正依頼等が、協会より来
イメージ
【入門】投資助言・代理業と金融ADA制度の概要について  日本における金融ADR制度は、金融トラブルの増加を受けて利用者保護と利便性の向上を目的に2009年に「金融商品取引等の一部を改正する法律」によって創設され、2010年から施行されました。  ここでは、金融ADR制度の役割と投資助言・代理業者に求められる金融ADR対応についてご紹介します。 ◇金融ADR制度の役割  投資助言・代理業者を含めた金融商品取引業者は、その受けている登録の種別に応じ、当該登録の種別に関する指定紛争解決機関が設立及び指定されている場合には、その指定紛争解決機関との間で手続実施基本契約を締結する必要があるとされています。  一方、その受けている種別に関して、指定紛争解決機関が設立及び指定されていない場合は、一定の苦情処理措置及び紛争解決措置を講じる必要があるとされています。  上述のような規制内容に基づいて、金融商品取引に関する苦情・紛争の解決が解決される仕組みがいわゆる金融ADR制度です。 ◇投資助言・代理業者と金融ADR制度について  投資助言・代理業者は、登録後、営業保証金を供託し、届出をした後、顧客からの苦情処理と顧客との紛争解決のための仕組みである金融ADR対応を行った上で業務を開始することができます。  このように、投資助言・代理業者として業務を開始するためには、金融ADR対応が必須となるのですが、この金融ADR対応のために、投資助言・代理業者は、①一般社団法人日本投資顧問業協会への加入か②弁護士会紛争解決センターへの加入のどちらかを選択する必要があります。  次回からは、①一般社団法人日本投資顧問業協会と②弁護士会紛争解決センターのそれぞれについての解説と加入への流れについて解説していきます。