【入門】投資助言・代理業と金融ADR制度について:①一般社団法人日本投資顧問業協会に加入する場合と②弁護士会紛争解決センターを利用する場合










①一般社団法人日本投資顧問業協会に加入する場合の考慮事項と加入手続きの流れ

 以下では、一般社団法人日本投資顧問業協会に加入する場合の考慮事項と加入手続きの流れについて解説していきます。

◇日本投資顧問業協会へ加入する場合の考慮事項

 投資助言・代理業者は、一般社団法人日本投資顧問業協会への加入か弁護士会紛争解決センターへの加入が必要となりますが、登録審査に際して、両社の間に基本的には、優劣はありません。
 一方、日本投資顧問業協会に加入した場合、各種変更届や自主規制ルール順守状況等調査票を年次で提出する必要があります。さらに、加入業者に対する不定期の監査が実施されるなどの事務的な負担も生じます。
 しかし、日本投資顧問業協会では、コンプライアンス研修等の各種研修を実施しており、業務運営に資する各種の情報等も得ることができます。加えて投資顧問経協会に加入することで社会的な信用を獲得できるなどのメリットも存在します。
 投資助言・代理業への登録時の注意点としては、日本投資顧問業協会への加入では、加入を希望する事業者に対して、社内規定や契約締結前交付書面等に関する審査や面談が行われますので、加入に際して弁護士会紛争解決センターへ加入する場合よりも時間がかかります。

◇日本投資顧問業協会への加入手続きの流れ

 日本投資顧問業協会への加入手続きの流れは次のようになります。
①登録後、協会に対して入会申込書等の必要書類を提出
入会申込書及び以下の書類を提出する必要があります
・定款の写し
・登記事項証明書の写し
・登録申請書及び方法を記載した書面
・業務に係る人的構成及び組織等の業務執行体制を記載した書面
・役員及び政令第15条の4で定める使用人の履歴書
・業務内容等が記載されたパンフレット・会社案内など
・その他協会が必要と認める書類…
直近の事業報告書
契約締結前交付書面
新規・登録申請者の概要についての写し
法人関係情報等取扱規定
役職員自己取引規定
コンプライアンスに関するチェックシート(日本投資顧問業協会HPにて入手可)など
・入会申込書(日本投資顧問業協会HPにて入手可)
②書類の内容等について質問や補正依頼等が、協会より来ることがあります
※特に契約書の書式や規定等について、細かい指示・追加書類等があります
③書類が整った段階で、協会にて面談
④理事会による入会審査(原則月1回)
⑤協会より入会承認の通知
⑥入会金等の納入=正式な会員
⑦当局への変更届出(協会加入に関する変更)
・費用
①入会金20万円
②会費10万円
※投資助言・代理業者の会費は、分割納入・減額等の特例措置があります。

②弁護士会紛争解決センターを利用する場合の考慮事項と利用までの流れ

 以下では、弁護士会紛争解決センターを利用する場合の考慮事項と利用までの流れについて解説していきます。

◇弁護士会紛争解決センターを利用する場合の考慮事項

 弁護士会紛争解決センターを利用するには、契約の申込書と登記事項証明書等の提出を求められます。
 このように、一般社団法人投資顧問業協会への加入とは異なり、利用に際しての審査等はありませんので、弁護士会紛争解決センターの利用する場合は、比較的短期間で金融ADR措置を構築することができます。

◇弁護士会紛争解決センター利用までの流れ

 弁護士会紛争解決センターの利用までの流れは次のようになります。
※東京の場合は、東京第三弁護士会と協定を結ぶことになります
①登録後、弁護士会の窓口に対して協定締結申込書等の必要書類を提出
・全部事項証明書(商業登記簿謄本又はこれに代わるもの)
・許認可、登録証の写し
・定款
・事業内容を説明するパンフレット
・協定書締結申込書(書式を利用し、金融商品取引法その他の法令上の許認可・登録等の種類、許認可・登録番号、今回措置をとることが要求されている法令上の根拠[協定書第2条に記入することとなるもの]、取扱う紛争の範囲)
②書類内容を審査→補正等は少ない傾向あり
③審査が完了すると、協定書及び手数料の請求書が送られてくる(通常FAX等での協定書の草案確認あり)
④協定書に押印を行い手数料の支払を行う
⑤協定書を一旦返送し、弁護士会が押印後、控えが届く
⑥当局へは、当該協定書の写しをFAX等で送る(変更届出は発生しない)
・費用
①協定手数料6万6千円(業界団体等の場合は、13万2千円)

◇まとめ

 前回のブログ記事でもご紹介したように、投資助言・代理業者は、一般社団法人日本投資顧問業協会か弁護士会紛争解決センターのどちらかに加入する必要があります。
 日本投資顧問業協会に加入する場合は、一般的に投資家を含めた社会的信頼を得やすくなりますが、加入するには、審査があり、費用面でも弁護士会紛争解決センターよりコストがかかります。
 どちらに加入するかは、それぞれのメリットとデメリットを比較考慮した上で、自社のビジネスのニーズと目標に最も適した選択をすることが大切です。

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