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【入門】投資助言・代理業に必要な人的要件とは? ◇投資助言・代理業に登録している事業者数と近年の動向  投資助言・代理業に登録している事業者数は、金融庁の公表している資料によれば、2024年3月時点で990事業者となっており、過去5年間での事業者数の推移は、ほぼ横ばいでした。  今後も経済情勢の大きな変動が無ければ、登録事業者数は、多少の増減が予想されるものの1000事業者前後で推移するものと思われます。  新規登録をしている事業者の傾向としては、近年、金融庁が登録手続きを英語でも可としたことで、外資系運用会社等の資本と人材の豊富な事業者の新規登録も増えてきてきます。  一方、2023年以降は、規制当局が新規事業者の参入抑制方針を示しており、こうした方針を受け、投資助言・代理業への新規登録は非常に困難であると言わざるをえません。 ◇投資助言・代理業に必要な人的要件  投資助言・代理業の登録に必要な人的要件に関しては、お客様から最も多くいただくご質問の一つです。  必要な人的要件は、行おうとする業態により異なりますが、いかなる業態にも必要なのは、①経営者、②分析・助言担当者、③コンプライアンス担当者、④内部監査担当者の①~④になります。  これらの①~④に加えて、一部の業務を行うには、⑤システム担当者が求められることもあります。  このように書きますと最低でも4人は必要なのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば①経営者と②分析・助言担当者を同一人物が兼ねることもできます。従いまして、行おうとする業態によっては2人以下での登録も認められる余地があるということです。  では、実際に一人でビジネスをしている方が、①~④の全てを兼務して登録ができるかと申しますと、この方が行おうとしておられるビジネスが少数の投資経験豊富なクライアントを対象とする場合でも、投資助言・代理業を含めた金融商品取引業者に高度なコンプライアンス体制とリスク管理体制の整備が求められる現在では、極めて困難であると言わざるを得ません。  ①~⑤には、金融商品取引業者及び登録金融機関(証券会社以外で有価証券関連業の一部を行うことができる金融機関のこと)での実際の実務経験が必要になります。  金融商品取引業者及び登録金融機関での実務経験のある方が社内に1人もいない場合、投資助言・代理業への登録は不可

 【解説】投資助言・代理業の廃業手続きについて

                   特定行政書士  矢ノ下孝信











 これまで、本ブログでは、投資助言・代理業の登録に関する解説を行ってきましたが、今回は、投資助言・代理業の廃業手続きについて解説してみたいと思います。

◇投資助言・代理業を廃業するために最低限必要な手続き

 投資助言・代理業を廃業するために最低限必要な手続きは、次の①~③(※③については該当する事業者のみ必要)になります。
 令和4年4月以降、行政手続きのオンライン実施が原則となったことを受けて、廃業のための廃止届出も金融庁電子申請・届出システムを通しての申請が必要です。

①本店の所在地または主たる営業所を管轄する財務局・財務事務所に廃止届出を行う
 本店の所在地または主たる営業所を管轄する財務局・財務事務所に金融商品取引業の廃止届出書、直近決算の貸借対照表の及び損益計算書の写し、顧客に対する債権債務の清算方法を記載した書面の三つの書面を提出します。

②営業保証金の取戻承認申請
 ②については、最初に営業保証金取戻承認申請書を提出し、これを受けて当局が6カ月間、当該事案について官報を行い、債権者等からの申立てが無かった場合は、投資助言・代理業者として開業した際に供託した営業保証金500万円が当該事業者に変換されます。

③日本投資顧問業協会への大会届出の提出(※該当する事業者のみ)
 日本投資顧問業協会に加入していた事業者は、協会への退会届及び金融商品取引業の廃止届出書の写しを協会に提出する必要があります。

◇投資助言・代理業者が廃業時に特に注意すべき点

 前述した①~③の手続き以外に投資助言・代理業者が廃業時に特に注意すべき点についていくつかご紹介します。

④債権・債務関係の確認
 投資助言・代理業を廃業する際には、顧客や取引関係のある業者との間に債権・債務がないかを確認する必要があります。
 特に、廃業予定の事業者が債務を負っている場合は、前述した②の手続きにも影響しますので、十分な確認が必要です。
 また、顧客から顧問料等を受け取っている場合、廃業するタイミングによっては、顧問料の返還が生じることも考えられますので、この点の確認も必要となります。

⑤顧客の個人情報の保護
 この点は、④とも関係しますが、廃業時に従業員が顧客名簿を無断で持ち出す等といった顧客の個人情報の漏洩が発生しないよう適切な個人情報保護対策を行う必要です。

⑥契約書の適切な管理保存
 顧客や取引業者との間に締結していた契約書は廃業後も法的トラブルの発生に備えて適切に管理保存しておく必要があります。
 契約書が失われている場合、廃業した事業者側が法的に不利な立場に置かれる恐れがありますので、廃業後も契約書は、適切に保存管理し続けましょう。

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